こんにちは、KOBAYASHIです。
今回はざっくり頭痛のおおまかな概要や分類などをご紹介します。
そもそも頭痛とは・・・?
■ 頭痛はよく遭遇する?
頭痛はプライマリ・ケアの現場で多く遭遇する症状の一つ。
※プライマリ・ケアとは患者の抱える問題の大部分に対処でき、継続的なパートナーシップを築き、家族と地域という枠組みの中で責任を持って臨床医に提供される、総合性と受診のしやすさを特徴とするヘルスケアサービスである。
■ 人口はどのくらい?
厚生労働省国民生活基礎調査(2008)では人口1000人のうち567人おり、第6位であった。
頭痛診療を得意とする医師は少ない。
理由として・・・
- 頭痛は画像診断できない
- 頭痛の強度と重篤度が一致しない
- 慢性頭痛に関して精神疾患との境界が不明瞭
⇒病歴聴取と身体診察、幅広い知識が必要となる
■ 分類はどうしてる?
頭痛の分類と診断は国際頭痛分類第2版(ICHD-Ⅱ)に従い、分類する。
頭痛は一次性頭痛(頭痛持ち)と二次性頭痛(脳や全身の病気により生じる頭痛)
二次性頭痛の中でも生命に関わるくも膜出血と細菌性髄膜炎は見逃してはいけない
分類不明な頭痛は2人のみであり、大方の頭痛を網羅できる
■ 危険な頭痛
・初めて経験する頭痛かどうか
・突発する頭痛かどうか(何時何分、何をしているときに)
2つの条件があてはまるとくも膜出血の危険性が高まる
※血圧や脈拍が普段より高いかどうかも重要である
重篤な基礎疾患を示唆する頭痛
・今までも最もひどい頭痛
・日時が特定できる突発する頭痛
・数日から数週間に渡り徐々に増悪する頭痛
・発熱を伴う
・嘔吐を伴う
・起床直後に起こる頭痛
・既知の全身疾患がある
・45歳以上で初発
・神経診察の異常所見
・局所の圧痛を伴う頭痛
特に発熱がある場合細菌性髄膜炎を疑う場合もただちに病院への転送が必要である。
そのほかに・・・
硬膜下血腫、緑内障、可能性副鼻腔炎も脳外科、眼科、副鼻咽頭科へのコンサルテーションが必要。
■ 現場では・・・
現場で良く遭遇するのが風邪をはじめとする感染症に伴う頭痛である。発熱の原因が上気道炎と特定されており、Jolt accentuationが陰性であれば髄膜炎はほぼ否定してよい。解熱剤で頭痛が消失する場合も風邪に伴う頭痛と考えてよい。(Jolt accentuation ジョルトサインでは1秒間に2~3回の速さで頭部を水平に振ると頭痛が悪化する所見である)
発熱のフォーカスができず、Jolt accentuationが陽性の場合は無菌性髄膜炎との鑑別が必要となり、嘔吐など頭蓋内圧亢進症状を伴えば脊髄液検査を行う。
■ 基本のマネージメント
慢性頭痛には片頭痛と緊張型頭痛が含まれる。治療方針は患者のライフスタイルにあわせて相談のうえで立てる。頭痛の原因や診断についての患者の考え、検査や治療法に対する希望を聞いたうえで医学的な説明を行うことが必要である。
・頭痛の頻度と程度を把握する
頻度によって対処法が異なる。月に3~4回は頓服薬を使用、週4~5回は予防薬を使用する
・早寝早起きで軽減する
・規則正しい食事時間を行う
■ 投薬について
・頭痛薬中程度 アセトアミノフェンやイブプロフェン
重度 トリプタン
・頭痛がピークに達してからはどの薬剤も効果がない場合が多いがイミグラン皮下注が効果がある場合もある
患者の悩みとして頭痛が投薬しないと悪化するのか、軽い頭痛で終わるのか区別しにくいことが多い。鎮痛剤は頭痛初期段階で飲むように指導するが、服薬回数や量が増えてしまうため、患者自身に自分の頭痛を理解することが重要であることから、頭痛日記をつけてもらうことが大切である
■ 片頭痛の予防薬
・保険適用されているのはブルプロ酸、塩酸ロメリジンである
・バルプロ酸は400mgを1日1回眠る前に使用する
・効果判定には2カ月ほどかかる
・妊娠中は禁忌
・塩酸ロメジリンはカルシウム拮抗薬で効果発現には1カ月以上かかり効果判定には3ヵ月ほどかかる
■ 小児の片頭痛
・持続時間が短い
・車酔いする子が多い
・規則正しい睡眠や食事、頭痛の要因を避けることで薬を必要としない場合が多い
・イブプロフェン(グレードA)
・アセトアミノフェン(グレードB)
・12歳以上、体重40kg以上で成人と同量、以下で半量を用いる
■緊張型頭痛
・慢性頭痛の中で最も多い
・発症機序としてストレスや精神的緊張が要因となりやすい
・うつや不安が多く認められるため、必要に応じてスクリーニング検査を行う
・頓服薬はアセトアミノフェンやNSAIDsを用いる
・予防薬はトリプタノール10~30mgが有効
・市販薬を月に10回以上服用する薬物乱用頭痛を生じている可能性がある
■ 頭痛体操
・片頭痛や緊張型頭痛の予防
・慢性化の予防、治療に効果的である
・頭痛により後頚部のコリが続くと起こりやすくなる
・朝夕一回ずつそれぞれ2分程度の簡単な体操でほぐれる
※片頭痛発作中に行うと頭痛が悪化するので注意する
参考・引用文献を以下に記載します
『頭痛』 稲福 徹也
厚生労働省国民健康基礎調査(2008)
国際頭痛学会・頭痛分類委員会. 国際頭痛分類第2版(ICHD-Ⅱ).日本頭痛学会雑誌.2004,vol31,p.13-188
Peter J.Goadsby,Meil H. Raskin. Headache From Harrison’s PRINCIPELES OF INTERNAL MEDICINE Seventeenth Edition, The McGraw-Hill Companies, 2008 95-107
日本頭痛学会編集.慢性頭痛の診療ガイドライン,医学書院,2006
竹島多賀夫ほか. 片頭痛の治療-最新の進歩- 神経内科. 2012, vol77, no,4 p.359-367.
平田幸一ほか. 緊張型頭痛の病態生理と治療 神経内科. 2012, vol.77, no.4 p.344-351
いかがでしたでしょうか?
ご参考になれば幸いです。
随時、情報を更新していければと思います。 KOBAYASHI